2011年NF研究発表「点字以前の盲教育」

2011年は点字以前の盲教育をテーマに展示を行いました。 貴重な資料を提供してくださった京都盲学校並びに岸先生に感謝致します。

点字以前の日本の盲教育歴史

京都盲唖院学校(現在の京都盲学校)の教育に沿って日本の盲教育の歴史を振り返る。ここに記載してある教材の資料は京都盲学校の資料室に保管されている。

盲人背書

先生が生徒の背中に文字を書き、生徒はそれが何なのかを当てる。

木刻凸字

盲人が普通文字の形を覚える為に使用した。多くの漢字は複雑な為、へんやつくり等に分解したもので学ぶ。木を彫って普通文字を直接表す。文字が浮き出している側、文字が彫りこまれている側の2面を持ち、視障学生の使いやすい面を使う。また、どの辺が文字の下側にくるのか印がついている。作り直すことが出来ない点、かさばる点が難点。

ろう文字

木刻凸字の反省を活かし、ろうに文字を刻むことによって溶かせば何度でも作り直せるようになった。ただし耐久度が弱く、簡単に壊れてしまう。かさばるという難点は継続。

自書自感器

上記の学習器具によってある程度普通文字の形状を学習した盲人が使用する。文字を書くマス目が触ってわかるようになっており、盲人が一人で字を書くことが出来る。

盲人用左右対称文字

盲人が使用する文字を浮き上がらせる紙に文字を書いた場合、書く面と読む面が裏表の関係になるため読む時文字が左右逆になってしまうという問題があった。これを解決するために考案されたのが盲人用左右対称文字。点と線により簡単に書き表されている。

点字以前に使われていた盲人用文字

紐文字

ひもの結び目の形、個数で文字を表す。紐を解けば何度も使える。

ラナの紙文字

紙を折って文字を表す。1枚で一文字を表し、何枚か連ねて文章にする。紙のどこを折っているのかに対して紙の向きが決まっているためどちらが上か分かるように紙を渡さなければならない点、一度折り目がつくともう他の文字に使えないという難点がある。

針文字

針で紙を穴が開かない程度に突き、その点の集合で普通文字を直接書き表す。製作に時間がかかる点、修正がきかない点、打つ時は普通文字を左右逆にしなければいけない点が難点。

バルビエ点字

シャルル・バルビエ(仏)が考案。12個の点でフランス語の1音を表す。バルビエは軍人であり、夜間に軍の命令を伝える為の暗号として使用されていた。後にルイ・ブライユがこれを参考に、現在世界で広く使われている盲人用点字を作った。

現在の点字に統一されるまで――アメリカの点字戦争

点字戦争

1860年代から1910年代まで、アメリカでおきた点字の規格争い。英語ではdot warという。この頃には盲学校ごとにブライユ点字・ニューヨークポイント・アメリカンブレイルの3規格のいれかが使われ、それぞれの支持者が50年近くにわたって激しい議論を繰り広げた。結局点字印刷機の発明・イギリスがブライユ点字を固守したこと等により、紆余曲折をヘた後、アメリカもブライユ式の点字で統一された。

ニューヨーク・ポイント

ニューヨーク盲学校にブライユ点字が輸入された際に「改良」された点字方式。最大横2×縦4の8点からなるが、打つ点の数や使う紙の量を節約するため使用頻度の多い文字は横を1〜3列で済ませ、その分次の点を詰められることを最大の特徴とした。ニューヨーク盲学校では長い間、これ以外の点字方式を用いることは禁止されていた。

アメリカンブレイル

パーキンス盲学校の教員スミスによる点字方式。ニューヨーク・ポイントに対抗する中で開発された。点はブライユ点字と同じく横3×縦2列の6点だが、点の数を少なくするためニューヨーク・ポイントの配列を参考として、ブライユ点字とは異なるアルファベットの配列となっている。

Topに戻る